厚生労働省がせき止め成分「コデイン」を12歳未満の子どもに服用を禁忌

市販の風邪薬やせき止めシロップに広く使われているせき止め成分「コデイン」を服用すると、呼吸困難の副作用が出る恐れがあるとして、厚生労働省は22日、リスクが高いとされる12歳未満の子どもの服用を禁忌とすることを決めた。

 同省は、製薬会社に2019年中に添付文書を改訂するよう指示する。19年までは、経過措置として、12歳未満への使用を制限するため注意喚起するよう求める。
 同日開かれた同省の有識者会議は、米国で今年4月に12歳未満への処方を禁じたことを受け、予防的な観点から禁忌とするべきだと判断した。

「コデイン」という成分を含んだせき止めの薬などの医薬品について、厚生労働省は子どもが服用すると、ごくまれに呼吸困難などを引き起こすおそれがあるとして、12歳未満への使用を2年後をめどに禁止することを決めました。
「コデイン」はせき止めの薬などの成分として広く使われ、厚生労働省によりますと、この成分を含む市販薬はおよそ600種類、医師が処方する薬は65種類あります。

アメリカではことし4月、コデインが呼吸困難などの副作用を引き起こすおそれがあるとして、医師による12歳未満の子どもへの処方が禁止されたことから、厚生労働省の専門家会議が対応を協議してきました。

その結果、国内でもおととしまでの7年間に、コデインを含む薬を処方された少なくとも24人に呼吸困難などの症状が出ていたことがわかりました。

厚生労働省の専門家会議は副作用が生じるケースは少ないとしながらも、「特に子どもはまれに呼吸困難などの重い副作用が出るおそれがある」として、12歳未満への使用を禁止すべきだとする見解をまとめました。

これを受けて厚生労働省は2年後の平成31年をめどに、市販薬と医師が処方する薬の両方について12歳未満への使用を禁止することを決め、それまでは製薬会社を通じて、医療現場に注意を呼びかけることにしています。


海外でも使用制限の動き
厚生労働省によりますと、コデインはせきを鎮める効果がある一方で、体質によっては呼吸困難などの副作用をまれに引き起こすおそれがあります。

欧米では子どもへの使用を制限する動きが広がっています。このうち、アメリカではコデインを含む薬について、市販薬は9年前に2歳未満の子どもへの使用が禁止され、今後、12歳未満まで対象を拡大する方向で検討が進められています。また、医師が処方する薬についても、ことし4月、12歳未満への使用が禁止されました。

さらにEUでも、おととし、医師が処方する薬と市販薬の両方について、12歳未満への使用が禁止されたほか、呼吸機能に障害がある12歳から18歳の患者には「使用を推奨しない」とされています。

一方、国内では医師が処方する薬については15歳未満の場合、患者の状態を見極めて少ない量から慎重に投与するとされています。また、市販薬は15歳未満の子どもには保護者の指導・監督の下で服用させ、中でも2歳未満の乳幼児については服用はやむをえない場合にかぎるよう、添付文書に記載されています。

厚生労働省は「日本人は欧米人に比べて副作用が出やすい体質の人は少ないとされているが、重い副作用が生じるおそれを考慮して、12歳未満への使用を禁止することにした」としています。
重い後遺症が残ったケースも
コデインが含まれる薬を飲んだあと呼吸困難になり、重い後遺症が残った子どももいます。

中部地方に住む幼児は数年前、かぜの症状が出たため、家族が市販のかぜ薬を用量を守って飲ませました。すると、数時間後に顔色が悪くなり、42度の高熱が出ました。その後、自力での呼吸が困難になり、気管を切開して呼吸を助ける器具を取り付けました。このため声を出すことができなくなりました。

病院で調べた結果、かぜ薬に含まれていたコデインによる中毒症状が原因と診断されました。父親は「市販薬を飲んで命に関わる事態になるとは想像もしなかった。子どもからは笑い声も泣き声も出なくなってしまった。こうしたことが二度と起きないよう、国は対策を進めてほしい」と話していました。
含まれているかの確認方法は?
コデインはせき止め薬のほか、「総合感冒薬」などと呼ばれるかぜ薬にも含まれていることがあります。
家庭で購入した市販薬にコデインが含まれているかどうかは、製品の箱の側面や添付文書の「成分」の欄を見れば分かります。

コデインは製品によって「コデインリン酸塩」、「リン酸コデイン」、「ジヒドロコデインリン酸塩」などと表示されています。


★コデインとは
コデイン(英: Codeine)またはメチルモルヒネは鎮痛、鎮咳、および下痢止めの作用のある、μ受容体アゴニストのオピオイドである。塩の形態の硫酸コデインもしくはリン酸コデインとして製品化されている。リン酸コデインは鎮痛剤や下痢止めとして用いられるが、コデインを還元して製造したジヒドロコデインを鎮咳薬として風邪薬に配合するのが一般的である。コデインは1832年にアヘンから単離された。プロドラッグであり代謝産物の約10%がモルヒネとなる。
コデインは世界保健機関の必須医薬品に定められている。WHO方式がん性痛治療法では、第2段階の弱オピオイドの第1選択薬に指定されている。日本の処方箋医薬品としては劇薬に区分される。乱用されやすく、国際条約である麻薬に関する単一条約が、コデインをスケジュールII薬物に指定している。

◆医薬品
現在の投与方法は主に経口で、形状は錠、散、シロップなどがある。錠剤ではコデインはしばしばアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンと共に調合される。これらの組み合わせは、それぞれ単体での使用よりも良い疼痛コントロールが可能となる。
純粋なコデインの使用量が1回60mg、24時間につき240mg以上は投与されない。これは天井効果により、投与量を多くしても効果は投与量に比例して大きくならないからである。反対に副作用が強くなる恐れがある。
◆副作用
一般的な副作用は次の通りである: 掻痒感、吐き気、嘔吐、眠気、口内乾燥感、瞳孔縮小、起立性低血圧、排尿障害、便秘。

ほとんどの副作用への耐性、および作用への耐性は長期連用と共に形成する。これは作用または副作用毎に形成される速度は異なる。たとえば便秘を含む作用への耐性形成は、遅い。
潜在的に深刻な副作用は他のオピオイドと同様に呼吸抑制である。この抑制は用量依存であり、この呼吸抑制が過量服用時に深刻な結果をもたらす。
◆授乳による乳児の死亡
コデインを使用していた母親が授乳を行った乳児が死亡した症例の報告がある。既述の通り、ヒトの体内では投与されたコデインの約10%がCYP2D6によってモルヒネになるとされている。本症例は、授乳婦の体内でコデインから生成したモルヒネが、母乳を通して乳児に移行し、モルヒネの毒性によって乳児が死亡したと見られている。

◆規制
国際条約である麻薬に関する単一条約が、コデインをスケジュールII薬物に指定している。
日本では単体のコデインは指定医薬品であるため購入は医師の処方箋によるものでなければならない。低濃度のコデインが含まれる医薬品は処方箋なしで入手する事が可能である。しかし「乱用の恐れのある医薬品の成分」として、含有される一般薬の販売が原則で1人1箱に制限されている。

アメリカでは、コデインは規制物質法 で規制されている。コデインを単独で含む鎮痛剤はスケジュールII規制薬物である。アスピリンもしくはアセトアミノフェンとの組み合わせではスケジュールIIIである。
イギリスでは、コデインは1971年薬物乱用法でクラスB薬物に指定されている。ただし、Co-codamolなどの低濃度のコデインが含まれる医薬品は処方箋なしで入手する事が可能である。

オーストラリアとカナダでは、コデインは規制されているが、許可された薬剤師による最大15mg/錠での調合による入手が処方箋なしで可能である。

◆乱用
コデインはしばしば乱用される事があり、これは入手の容易性によるものと推定される。しかしコデインを過量に服用し続けると、薬物依存症に陥る。またコデインを成分とする市販のせき止め薬を処理して、強力な麻薬のデソモルヒネを密造する方法が近年になってインターネットに拡散し、ロシアなどで乱用被害の増加が問題になっている。

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