国立がん研究センターなどは、血液1滴で乳がんなど13種類のがんを早期発見する新しい検査法を開発し、来月から臨床研究を開始。

国立がん研究センター(東京都中央区)は18日、血液から乳がんや大腸がんなど13種類のがんを発見できる診断システムの開発を始めると発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が今年度から5年間で約79億円を出資し、東レ(中央区)などの民間企業が検査方法の開発を支援する。

国立がん研究センター(東京都)などは、血液1滴で乳がんなど13種類のがんを早期発見する新しい検査法を開発し、来月から臨床研究を始める。

 同センターの研究倫理審査委員会が今月中旬、実施を許可した。早ければ3年以内に国に事業化の申請を行う。

 一度に複数の種類のがんを早期発見できる検査法はこれまでなく、人間ドックなどに導入されれば、がんによる死亡を減らせる可能性がある。

 検査法では、細胞から血液中に分泌される、遺伝子の働きを調節する微小物質「マイクロRNA」を活用する。がん細胞と正常な細胞ではマイクロRNAの種類が異なり、一定期間分解されない。

 同センターや検査技術を持つ東レなどは、がん患者ら約4万人の保存血液から、乳房や肺、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓すいぞうなど13種類のがんで、それぞれ固有のマイクロRNAを特定した。血液1滴で、がんの「病期(ステージ)」が比較的早い「1期」を含め、すべてのがんで95%以上の確率で診断できた。乳がんは97%だった。

 がんセンターによると、血液検査での早期発見を目指すのは、日本人の罹患(りかん)者が多かったり、同センターが重点的に研究したりしている胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱(ぼうこう)がん、乳がん、肉腫、神経膠腫(脳腫瘍の一種)-の13種。

 がんなどの疾患にかかると、血液中に含まれるマイクロRNAという物質に異常が起き、特定のマイクロRNAの数値が上昇したり減少したりするとされる。しかし、どのマイクロRNAがどのがんに関連しているかについては不明な点が多い。研究では各がん5千人、計6万5千人分の血液を解析し、関連するマイクロRNAを特定。数値を解析することで、がんの早期発見につなげる。

 がんセンターの堀田知光理事長は「従来のレントゲンや超音波検査に比べ患者に負担が少なく、国民の重大な疾患の早期発見につながる」と意義を強調。まずは研究が先行する乳がんから始め、人間ドックなどで導入できるよう安価で迅速、正確な判定ができる検査システムを開発する。

※検査料は約2万円。

検査段階で見つかったガンが極小の場合自然治癒されるものか、どのような治療が適切か等の見極めが重要な課題の一つとなる。



★マイクロRNA
miRNA (microRNA, マイクロRNA) は、ゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て最終的に20から25塩基長の微小RNAとなる機能性核酸である。

この鎖長の短いmiRNAは、機能性のncRNA (non-coding RNA, ノンコーディングRNA, 非コードRNA: タンパク質へ翻訳されないRNAの総称) に分類されており、ほかの遺伝子の発現を調節するという、生命現象において重要な役割を担っている

microRNA(miRNA)は21-25塩基(nt)長の1本鎖RNA分子であり真核生物において遺伝子の転写後発現調節に関与します。ヒトゲノムには1000以上のmiRNAがコードされていると考えられています。miRNAはその標的mRNAに対して不完全な相同性をもって結合し、一般に標的遺伝子の3'UTRを認識して、標的mRNAを不安定化するとともに翻訳抑制を行うことでタンパク質産生を抑制します。miRNAが介する転写抑制は、発生、細胞増殖および細胞分化、アポトーシスまたは代謝といった広範な生物学的プロセスに重要な役割を担うことが知られています。

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