米研究チームが海底で発見された緑色の海綿動物が、膵臓(すいぞう)がんの治療に有効な「新兵器」になり得ると発表 重要な第一歩に

米アラスカ(Alaska)州沖の太平洋(Pacific Ocean)の暗く冷たい海底で発見された小さな緑色の海綿動物が、膵臓(すいぞう)がんの治療に有効な「新兵器」になり得ると、米研究チームが26日発表した。
 膵臓がんは侵襲性の特に強い腫瘍で、治療が難しいことで知られる。初期症状が出にくく、診断されたときには治療法が限られてしまっている場合が少なくない。

 くすんだ緑色をした海綿(学名:Latrunculia austini)は、米海洋大気局アラスカ漁業科学センター(NOAA・AFSC)のボブ・ストーン(Bob Stone)研究員が2005年にアラスカ沖の海底探査の際に発見した。電話取材に応じたストーン氏は「この海綿を見て、奇跡を起こす力があるかもしれないなんて思った人は誰一人いなかっただろう」と語った。

 この海綿は水深70~219メートルに生息している。米サウスカロライナ医科大(Medical University of South Carolina)のマーク・ハマン(Mark Hamann)研究員によると、米ヘンリー・フォードがん研究所(Henry Ford Cancer Institute)と合同で行った実験で、この海綿に含まれる複数の分子に、膵臓がんのがん細胞を選択して破壊する働きがあることが分かった。

「間違いなく、われわれが見てきた中で最も活発に膵臓がんに対抗する分子だ」とハマン氏は説明し、「課題は山積みだが、治療法の発見と確立に向けた重要な第一歩になる」と述べている。

 米国がん協会(ACS)によると、膵臓がん患者の5年生存率はわずか14%とされる。
 ヘンリー・フォードがん研究所のフレッド・バレリオット(Fred Valeriote)氏は「この20年間に5000以上の海綿抽出物を見てきた」と前置きしつつ、「膵臓がんと卵巣がんに対し、このように選択的に作用する海綿は、これまでインドネシアで何年も前に見つかった1種以外になかった」と語っている。

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